私の部屋で本を読み、静かに過ごす澪と私。自分の誕生日にこの静さ!なんともつまらない!そんな性分に私の心が踊り、音楽の雑誌を読んでいる澪にちょっかいをかける。
ねぇねぇ!誕生日プレゼントとかないの?なんつって。けど澪はそんなことに一切動じずに雑誌を読みながらたった一言、こうして祝いに来てやってるじゃないか、だってさ。
そんな冷静な態度なものだから、まあ面白くないと感じてイタズラしちゃいたいと心が弾んでしまうものだ。
澪が誕生日を迎えたときは何かしてって甘えてきたくせに、ぷぷぷと笑ってみせる。するとどうだ、澪のやつ、雑誌を勢いよくパタンと閉じて、真っ赤な顔をこちらに向けるではないか。これには私もイタズラ心に火がつくってもんだ。

「デレデレに甘えてきたよなー。」
「それはっ…。」
「あのときの澪可愛かったなー。」
「ちょ…っと、何を…。」 
「好きって言ってよなんてさー。」
「…!」
「なぁ、澪。」
「な、なによ。」
「結婚前提に付き合ってくれませんか?」
 
そう言った途端、澪は両手をぎゅっと胸の辺りで握ってしまうぐらいに照れちゃって、心に余裕がなくなってしまった。そんな澪の緊張をゆっくり、ゆっくりと解きほぐせるように私はへらりと笑ってみせる。
本当はね、ちょっかいだとかイタズラ心とかはなくて、ただ澪を雑誌から私の方へと振り向かせたかっただけなんだ。この純粋な気持ちを言葉にして伝えるために。
なぁ、私がこんなに真剣になることってないんだぞ。びっくりしてて聞いてなかったなんて言わせないからな。ちゃんと聞いてくれよ、いいか澪?

「付き合うのはお互い、成人になってからって澪が言っただろ?」
「ああ、そんなこと言ったな。」
「成人じゃない今の今までの付き合いが遊びだったら困るからさ、今度は婚約も兼ねて、もう一度。」
「…っ。」
「結婚前提に私と付き合ってくれませんか?」

ねぇ澪。私、待ったよ。澪の手をぎゅっと握って、そう胸の内を伝えれば澪は顔を真っ赤にして、分かりましたと返事をくれた。
あ、でもでも条件付きだってさ。私が誕生日を迎えたらもう一度言ってくれ、だとさ。付き合うのはお互い成人になってからなんだろ?私はまだ未成年だもん、成人になったらもう一度言ってもらえる権利はあるよね?だってさ。なんて欲張りな私の彼女なこと。








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